2006年9月6日
(社)日本プロジェクト産業協議会
ユニバーサル社会構築研究会

JAPICユニバーサル社会構築研究会(主査:三栖日建設計会長)、新たな地域活性化方策として「U−TOWN構想」を提案

〜国土形成計画・広域地方計画の地域づくり理念、考え方としての導入を働きかける〜

〈ユニバーサル社会構築研究会〉

主査 三栖 邦博 日建設計会長
副主査 利満 慎一 国際航業技師長
アドバイザー 坂村  健 東京大学教授、大石 久和 国土技術研究センター理事長
主要メンバー 日本損害保険協会、大成建設、竹中工務店、地崎工業、千葉銀行、東京電力、NEC、日立製作所、富士通、三菱電機など

1、概要

 JAPICでは、ユニバーサル社会の理念を「身体的状況、年齢、国籍を問わず、あらゆる人が、人格と個性を尊重され、ストレスなく自由に社会に参画し、いきいきと暮らすことのできる社会」と定義し、その実現に向けた方策を「U−TOWN(ユニバーサルタウン)構想」と名づけ、その推進活動を行っている。
 U−TOWN構想は、地域、まちという範囲に着目して、行政側が執行する各種地域・まちづくり政策にユニバーサル社会の理念を注入し、その実施にあたっては、「参加型社会システムを構築して進めること」「多様な人の多様な価値観に対応するため、 積極的にITを導入してユビキタス環境を構築すること」を図りながら、産業界の活力を十分に発揮し、「21世紀型まちづくり」を目指すものである。
 U−TOWN構想を確実に推進していくためには、国の進めている国土形成計画・広域地方計画の地域づくりの新たな考え方としてU−TOWNを位置づけ、国策として地域をバックアップすることが不可欠である。したがって、JAPICでは、国に対して、こうした働きかけを行っていくと同時に、先進的モデル都市(リーディングエリア)を全国に15ヵ所程度選定して、具体的な仕組みやユビキタス環境構築に関する制度および技術的な評価・検証を行うよう国に働きかけを行っていく。
 現在、先進的モデル都市の候補地として小説「坂の上の雲」や道後温泉で有名な松山市内を絞り込み、松山青年会議所、各種NPO等と調整を行っており、役割分担等が明確になり次第、具体的な検討に着手する予定である。また、ユビキタス環境の整備に関しては、新たな社会インフラとしての情報基盤のあり方、自律移動支援プロジェクト(国交省)など成熟しつつある最新技術のまちづくりへの導入などを積極的に検討していく。

2、U−TOWN構想の目的

 U−TOWN構想は、この「地域・まち」というエリアに着目し、多様な人々が、ストレスなく、いきいきと暮らすことができるユニバーサル社会の構築を目的としている。「ストレスなく」とは、安全・安心でなければならない、環境にやさしくなければならない、人の移動が円滑でなければならないことなどを意味し、「いきいきと」とは、人格と個性を尊重され、あらゆる機会を自由に選択し、享受できることなどを意味する。
 U−TOWN構想は、「暮らす」という概念を、(1)住まう、(2)働く、(3)学ぶ(文化・教育)、(4)健康でいる(元気、福祉)、(5)憩う(自然環境、リラクゼーション)(6)楽しむ(都市環境、趣味)(7)観光という視点から、「ストレスなく、いきいきと」を具体的に展開するため、各種まちづくり施策に関して「参加型社会の構築」と「ユビキタス環境の整備(ITによる支援)」といった視点を導入して新たな地域社会のあり方を提案するものである。

3、モデル都市におけるU−TOWN検討の手順

基礎的自治体(市町村)のまちづくり総合施策を、地元住民・関連機関など多様な人から成る「U−TOWNワークショップ(仮称)」を立ち上げて、ユニバーサル社会の視点でみつめ直し、ハード面だけでは解決できない課題に対してITによる支援策(ユビキタス環境の整備)の検討を行い、その実現へのプロセスを実行に移していく。

「参加型社会の構築の一環として市民、地元青年会議所、NPO、大学、公的機関など立場の異なる方々からなる「U−TOWN推進ワークショップ」を立ち上げ、以下の手順を遂行する。」

  1. 対象となる都市の推進しているまちづくり施策を、「多様な人が、ストレスなく自由に 社会に参画し、いきいきと安全で豊かに暮らせる」といったユニバーサル社会の理念をもって検証し、概ね5〜10年後のユニバーサルビジョンを取りまとめる。

    (まちづくり施策例)

    • まちの再生・にぎわい空間の創出
    • 交通など環境負荷の少ない都市構造の構築
    • 交流人口(観光客)や外国人受け入れ環境の整備
    • 防災・防犯対策の充実
    • 地域個性の創出と継承
  2. それぞれのまちづくり施策の実行に際しては、より身近な関係者など多様な人が自由に参加して議論を深めることができる体制づくりを行い、その場にて具体的な検討を実施する。

  3. ユビキタス環境整備のためのIT導入の可能性調査、実証実験などを実施する。

参考資料

(1)実現に向けた仕組みづくり「参加型社会の構築」

 ユニバーサル社会の重要な要素である参加型社会を構築するための仕組みづくりを推進する。

  1. 市民・利用者、NPO、大学、公共機関など多様な主体によるまちづくり協議の場を構築する。

    図表

  2. スパイラルアップの導入

    〜ユニバーサル社会の構築には、起爆剤(イニシエーター)、促進作用(プロモーター)、持続的成長(サスティナビリティ)と段階的に進化し、ユニバーサライズ(普遍的)でなくてはならない。
    〜事前の検討段階から事後の評価の段階に至るまで多様な人が積極的に参加し、この参加のプロセスを経て得られた知見を共有化し、他のプロジェクトに活かす段階的かつ継続的な発展の仕組みを構築する。

  3. エリアマネージメント手法の応用・導入

    〜それぞれの地区ごとにまちづくりのコンセプト、ユビキタス技術の導入方策を具体的に決定し、地区のイベントや清掃なども含め、BID(ビジネス開発地区)のような中間法人による運営管理主体等の設立を検討する。

  4. ビジネス環境の整備

    〜下記に提案する「時空間情報ネットワーク」を基盤として、都市・生活サービス分野におけるビジネスモデル構築の検討を行う。
    〜検討に際しては、エリアマネージメント手法を取り入れた持続的・発展的なモデルの構築とインキュベーションマネージャーの育成を行う。

(2)まちづくり施策とITの融合「ITによる支援(例)」

 U−TOWN構想の主要目的である新たな地域社会づくり施策を情報技術によってユニバーサル化する技術的な評価・検討を行う。

  1. まちの再生、賑わい空間の創出

    〜中心市街地等の活性化に対する情報技術の導入
    〜文化・交流イベント等への参画に対する情報技術の導入

  2. 生活環境、移動環境、福祉環境の充実

    〜公共的施設、商店街のバリアフリー化に対する情報技術の導入
    〜公共交通機関のバリアフリー化、円滑化に対する情報技術の導入
    〜福祉関連と情報技術の融合による新たなまちづくりの検討

  3. 地域個性(魅力)の創出と保全

    〜地域資源・資産の発掘とアクセシブル環境の充実
    〜観光資源、自然環境の保全に対する情報技術の導入

  4. 交流流人口の創出

    〜外国人の受け入れ環境に対する情報技術の導入
    〜まち・場所案内システムの導入

  5. 防災・防犯対策の充実

    〜道路・沿岸・空港等の現況情報提供に対する情報技術の導入
    〜通学路等への監視システム導入の検討

(3)新たな社会インフラ「時空間情報ネットワーク」の導入

 新たな社会資産としての「時空間情報ネットワーク」の導入に向け、その構成および技術的な検討を行う。「時空間情報ネットワーク」とはU−TOWNがユビキタス環境を整備しITによる支援でユニバーサル化の基盤となるシステムと考えている。U−TOWNに係わる各情報に場所と時間という概念を加えることにより「まちづくり」に活かしていくものであり、公物管理や防災管理などの公的活用ならびに道路情報、気象情報などで準公的活用そして民間サービスへの活用として、情報を収集し発信・管理を行うシステムの検討を行う。

図表
U−TOWN時空間情報ネットワーク