(社)日本プロジェクト産業協議会
京浜臨海部再編整備研究会
JAPIC京浜臨海部再編整備研究会、「京浜臨海部再生に向けた循環型コンビナートの形成」を提案
“環境にやさしい循環型コンビナート形成(ハイブリッド・エコ・コンビナート構想)”
<京浜臨海部再編整備研究会>
| 主査 | 藤田 壮 東洋大学教授 地域産業共生研究センター長 |
| 副主査 | 永井 猛 東京ガス(株)エネルギー企画部部長 |
| *主な連携先 | NPO法人 産業・環境創造リエゾンセンター |
| 川崎商工会議所 |
1、検討経緯
JAPIC「京浜臨海再編整備研究会」では、平成11年に発足以来、京浜臨海部の再編整備が日本経済再生に向けて重要かつ緊急性の高い課題であるとの認識のもと、同地域に内在する多くの問題点を解決するため、開発手順や手法、規制緩和等の具体的な方策を民間の立場から提案を行うべく活動を行ってきた。
その成果である京浜臨海部の将来ビジョンとして、平成13年3月に「京浜臨海部再編整備に向けての基礎調査報告書〜けいひんさいせいプラン〜」、平成15年2月に「けいひんさいせいプラン 実践編 京浜臨海部の再編整備に向けて」を取りまとめた。また併せて「東海道貨物支線貨客併用化の段階的整備」等のプロジェクト提案を行ってきた。
しかしながら、社会情勢の変化などから、京浜臨海部における都市基盤および交通基盤の整備は、ほとんど進んでいないのが実情である。
こうした状況を鑑み、昨年度からこの地域では早くから産業間連携を視野に入れて、ゼロエミッション理念のもとに環境と共生する産業地区など幾つかの構想が描かれてきた点に着目して、環境負荷軽減に寄与する京浜臨海部のあるべき姿という視点で検討を重ねてきた。
2、ハイブリッド・エコ・コンビナート構想
京浜臨海部、川崎臨海部の伝統ある既存産業は、その優位性からあまり連携を強化する方向ではなかったが、コンビナートとしての優位性を発揮するためには、お互いの産業を理解し、協力・連携できるところはないかを模索しはじめているところである。
これまで今後の土地利用の側面や社会インフラ整備等の要望に関する連携が主軸を成してきた。今後は新たに加わるであろう環境産業との連携を強めていく必要がある。同地域から排出されるゴミ・廃棄物の処理をみずからの地域で行うとともに、将来都市拠点となる神奈川口周辺への熱供給などの産業廃熱を民生利用し相互融通する仕組み、臨海部域内で廃棄物を資源化して循環させるようなコンビナート地域の仕組みを形成することが最初のスタートとなるのではないか。こういったハイブリッド・エコ・コンビナートの形成を日本でいち早く形成し、資源循環型都市の代表として、そのポテンシャルをあげることが地域の活性化につながるものと思われる。
また、上記のハイブリッド・エコ・コンビナートのようなものを同地域の理念としてもった場合、それらの育成や継続性を維持し、さらには発展させるための基盤として社会インフラがどのようであるべきかを検討する必要がある。「都市産業共生にむけての道路ネットワークの再構成」、「鉄道、海上交通へのモーダルシフトの展開(併せてCO2の削減に貢献)」、「羽田空港や川崎港への利便性向上」等を検討していくものとする。

(1)循環型のエネルギー拠点構想
京浜臨海部は、以前から未利用エネルギーの宝庫とも呼ばれており、産業(工場)からの有効に活用できる産業排熱が多く存在している。これらの排熱は産業用としては価値の低い100℃未満の低温排熱であるが、民生分野においては、給湯需要をまかなうことのできる有用な熱エネルギーである。これまでも低温排熱を民生分野に利用する研究は行われてきたが、経済性という壁に突き当たり実現しなかった経緯がある。しかし、CO2削減へのインセンティブの高まりや、新たな技術・考え方がでてきており、現実に向けて可能性を検討できる段階にあると考えられる。
京浜臨海部にある工場−製鉄、セメント、非鉄金属、化学関連−からの排熱をオンライン(熱導管ネットワーク)あるいはオフラインで、近隣のオフィスビル、ホテル、病院等に供給し、これら民生部門における熱エネルギーの一端を担うことによって、その地域の発生CO2量を削減することを目指すものである。
また、産業排熱の民生利用にあたっては、排熱の量と質をコントロールする必要がある。実際に排熱を民生部門に供給する際には、需要にあわせて工場の運転を制御することはできないため、複数の工場の排熱源を組み合わせてその時々に必要な量の排熱を調達し、需要先に供給する機能を担う熱エネルギーコントロール拠点が複数必要になると考えられる。
(2)企業間連携による資源循環プロジェクト
川崎臨海部では、川崎エコタウン事業において既に様々なリサイクル施設が整備されているが、域内の資源循環を促進したいとの要望は依然として強い。そのために、異業種が集積している京浜臨海部コンビナート地域の中で、ゼロエミッション循環システムを一層拡大することは京浜臨海部再生の方向性とも合致した現実的な考えである。企業間での廃棄物原料のやり取りが存在し、相互利用が進んでいることが、さらに地域から発生する廃棄物をエコタウン内の循環拠点施設で受け入れるなど地域循環を促進することによって新たな産業共生の形成が見込まれる。今回提示している構想では、産業廃棄物ばかりではなく、一般廃棄物を強く意識した広域資源循環をイメージしている。実際には、これら資源循環を、マテリアルフローの面からだけではなく、CO2排出削減の観点からも検討できるものと考える。
(3)都市産業再生に向けての交通ネットワーク構想
産業道路をはじめとする京浜臨海部の既存道路は慢性的な渋滞であり、前述の資源循環型の都市再生を実現し、さらには発展させるための基盤として、交通ネットワークの再構成が必須となる。
その視点として、資源・エネルギー循環を容易にする、京浜臨海部域内の道路ネットワーク整備がある。未利用エネルギーのオフィス、商業施設での再利用を想定する、川崎都心部、神奈川口へのネットワークや資源循環を図るための臨海部企業を結ぶネットワークは、現在の渋滞状況を考えると、構想を実現するには甚だ心もとない。
また、羽田空港の国際化による新たな産業集積、将来の広域的な資源循環ネットワークへの発展を視野に入れた、羽田空港や川崎港への利便性向上も交通ネットワークを考える視点として置いておくべきである。
道路ネットワーク整備により渋滞緩和、川崎臨海部の既存インフラである東海道貨物支線や川崎港の活用によるモーダルシフトが図られることで、環境負荷軽減(CO2などの削減)の点からも効果が期待でき、この視点も含めて構想を検討する。
このように、都市産業再生、環境負荷軽減の両面から、京浜臨海部の交通ネットワークを検討していくものとする。
3、今後の活動
今後、研究会の元に“資源・エネルギー循環ワーキング”と“都市・交通基盤ワーキング”という2つのワーキングを設置して、事業モデルの具体的な検討、この構想を実現させる為の産業政策、交通施策などの検討を行っていく予定である。
また、この構想の推進においては、NPO法人産業・環境創造リエゾンセンター、川崎・横浜・東京の商工会議所と連携を図り、新たな産業クラスター形成を視野に入れて、京浜臨海部再編整備のより具体的なプランを明示していく予定である。







